2010年7月28日水曜日

就職留年者急増 職業意識を高め再挑戦しよう・・・は本当か???

◆就職活動浪人 79,000人  就職先なしでの卒業 31,000人 (読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20100721-OYT1T01227.htm


◆大学生数 280万人、1学年70万人と考えると・・・・
http://hp.univlabo.com/data/jinkou


内定取れねぇよ・・・。服ないし。
下記の読売新聞社説にも一部触れられているが最近のメディアでは不況に加え、
就業能力が低いがためにあぶれたり職につけないという学生が多いという
論調なのだが果たしてそうだろうか?


確かに、海外の優秀で安い人件費と比較して競争力で
負けて採用にならなかったというケースはあるだろう。
ただ、まだまだ海外の現地採用人数は数も少ない企業や実施していない企業が大多数だ。
松下電器や楽天、ユニクロなどメディア受けするような企業でのニュースで
そうした印象をうけるのだろうが、まだ先鋭的で珍しいからニュースになっているにすぎない。


学力低下の実力不足で採用にならない、というケースは少ないように思う。
それより圧倒的に採用の手控えのほうにこれだけ溢れる要因があるだろう。
2年前は売り手市場売り手市場、だった。
2年前の学生と比べて今の学生がそれだけ就業力が低いのだろうか?


企業側はできない人間を採用していないのではなくて、そもそも採用する人数を減らしている。
仮に学生が皆今よりかなり優秀だったとしてもあぶれる人数は大きく変わらないように思える。


以前は高卒で就業していた割合も今よりきっと多かった。
確かに「大学生」の学力は低下しているだろうが、「22~23歳の就業能力」
が20年前より落ちているのかは疑問の残るところだ。
(単純な技術進化に加えて)ITリテラシーも以前よりは高いだろうし、
ひょっとしたら仕事を効率よくこなす実力というのは20年前よりあるのではないだろうか?


そう考えると今期25億円ほどの対策費が盛り込まれている文部科学省主導の
大学への「就業力UP」の予算割り当てもどれだけ効果があるのか正直疑問だ。
結局「去年より就業能力の高い不採用者」が出るような気がしてならない。


新卒を行うのは、中堅、大手になるだろうから新卒採用人数に応じて減税するなり
(日本でのマーケット縮小は避けられないであろうから)海外進出企業を支援するなり
貯金せずお金使おう~!のキャンペーンをやるなりの
景況打開のほうが早く効果があがりそうな気がしてならない。




以下 読売新聞社説 引用


職留年者急増 職業意識を高め再挑戦しよう(7月22日付・読売社説)
就職先が見つからず、卒業年限を迎えながら留年する。
今春の「就職留年者」と推定される大学生が、約7万9000人にも上ることが読売新聞の調査でわかった。


卒業予定者の7人に1人が大学にとどまった計算になる。
就職が決まらないまま卒業した大学生も約3万1000人おり、
厳しい経営環境の下での深刻な雇用状況を浮き彫りにしている。


就職留年の背景には、「新卒一括採用」と呼ばれる企業の採用形態がある。
卒業予定の大学4年生(新卒者)を選考の中心とするため、
学生は卒業して既卒者扱いになるより、留年して新卒者として志望する道を選んでいる。


日本経済団体連合会のアンケート調査では、
「既卒者を受け付ける予定がない」と回答した企業は約59%に達した。


卒業後の一定期間は新卒者と同じ扱いにしたり、年間を通じて採用を行ったりして、
学生になるべく多くのチャンスを与えられないか。企業は雇用拡大に向け、採用形態を見直すべきだろう。


職業教育も必要だ。高校や大学は、社会で働くことの意味を十分教えてきただろうか。
将来どんな職業に就くかという目的意識を持つことなく、取りあえず高校から大学に進学し、
そのまま就職活動に臨む学生は多い。


基礎的な学力不足も目立ち、特に大学教育に対して、企業側には不信感がある。


文部科学省は2月に大学設置基準を改正し、来年度からすべての大学に対し、
職業意識を育む教育を行うことを義務づけた。


面接テクニックの指導など、小手先の対策ではない。
学生一人ひとりに卒業後の目標を立てさせるとともに、
目指す職業に必要な能力や倫理観を身に着けさせる教育が肝要である。


教育界と経済界が対話を重ね、求められる資質についての認識を共有する必要もあろう。


一方、学生側も自らを振り返ってみることが大切だ。


安定志向から、大企業に志望が偏るのはわかるが、まず自らの適性を見極めて就職し、
経験を積んでから、転職などでキャリアアップを図る道もある。


 経済のグローバル化で、今後は外国人留学生を採用する企業が増える。
日本人学生は、就職戦線でこれまで以上に厳しい競争を強いられることが予想される。