2010年4月12日月曜日

奨学金返したくても返せない卒業生たち

奨学金の受給率はなんと4割を超えているという。
返済期間は15年程度が一般的でその返済は卒業生の財布を圧迫している。

そんななかこんなニュース。
奨学金「返したくても返せない」 滞納者は31万人に(産経ニュース) 
http://sankei.jp.msn.com/life/education/100411/edc1004111004001-n1.htm



日本学生支援機構によると、平成20年度の奨学金の滞納者は計31万人で、
滞納金の総額は723億円に上っている。
機構では、正規の返済猶予手続きをせず滞納を続ける場合には延滞金を課すなどの
措置を講じているが、それでも滞納者は4年前より6万1千人増えている。
「返したくても返せない」という人も多い。
「妻もいるし、生活は決して楽じゃない。正直、返済は大変」
大学卒業後11年間、奨学金の返済を続けている秋田県内の男性会社員(33)はこう話す。
大学時代に借りた奨学金は約270万円。卒業後、毎月1万円、年2回のボーナス月は5万円を返済していたが、勤務先の大型商店が経営破綻(はたん)して、給料が大幅ダウン。
年収は250万円以下となり、返済が苦しくなった。
光熱費や家賃などを差し引くと手元には3万円しか残らず、やむなく返済を一時期猶予してもらった。「友達の結婚式にもいけなかった。夕食も店で残ったお総菜を持って帰って済ませた」。
現在の状況は少し改善したものの、返済は2年残っている。
「少しずつでもコツコツ最後まで返すのが大事」。周りには猶予手続きを取らず、延滞している社会人も多いという。


奨学金制度に詳しい千葉大の三輪定宣名誉教授は「卒業後も定職につけず、
派遣やバイトで稼いだ少ない収入から奨学金を返済する人も多い。だから、延滞してしまうケースもある。
貸与ではなく、給付型奨学金が早急に導入されるべきだ」と訴える。
民主党政権はマニフェスト(政権公約)で「給付型の検討を進める」としているが、国の財政は厳しさを増している。川端達夫文科相は6日の閣議後会見で
「マニフェスト的には非常に意識しているが、最終的にはお金がネックになっている」と明かした。
同機構では「給付型の導入はどうなるか分からない。
しかし、返済金の半額軽減で滞納者が減ることを期待している」としている。



記事を読む限り奨学金事情はかなり厳しそうだ。
滞納金が723億円ともなるとこれはとても回収しきれそうも無い。
さすがにニュースの記事なのでわかりやすいような明らかに苦しい事例を挙げているのだろうが、
それでも奨学金を借りている学生にとっては人事ではないだろう。


そんな中こんなニュースも
奨学金返済「半額」 最長10年の救済措置(産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/life/education/100411/edc1004111000000-n1.htm



大学生や大学院生らに対する奨学金の貸与事業を実施している文部科学省所管の
独立行政法人「日本学生支援機構」は、経済的に困窮して奨学金返済が困難になった人に対し、
最長10年間、返済金を半額に軽減する方針を固めた。
来年1月から実施する。不況のため失業したり、給料が大幅に下がるなどしたりしたため、
奨学金返済に困る社会人が急増していることから“救済”に乗り出した。
同機構によると、返済金の半額軽減対象になるのは、
大学などで在学中に毎月3万~15万円の奨学金を受け、
卒業後に分割で返済している社会人らのうち、年収が300万円以下の生活困窮者ら。
通常、毎月9千~1万5千円に設定されている返済額が、最長10年間、半額に引き下げられる。
返済期間はその分延びるが、返済総額はほとんど変わらず、
生活に困窮していても少しずつ返済残額を減らすことができる。



返済総額が変わらないようなのでかなり大きな救済措置にはなることでしょう。

今後の奨学金のあり方を考える上では
最初の記事にもあるように給付型を提案する
民主党のマニュフェストは実現されるのか、見物です。
成績優秀者は給付型を受ける権利を得る、という形に落ち着きそうですね。
それでも給付型が税金で賄われることになると大学に入学した人だけが
国からお金をもらえる構造になるので高卒で働いている人たちからの
不満が出ることも想像に難くない。

とはいえ、以前と比較して大学生はマジメに勉強するというデータもあるらしいので
実現の早期化を切に願っている学生も多いのではないでしょうか?